北の大地に芽吹く「ロックの魂」
1970年代から1980年代中期にかけて、博多めんたいロックといわれるぐらい福岡県から上京してきて名をはせたロッケンローラーが多くいた。シーナ&ザ・ロケッツ、ルースターズ、ARB、THE MODS、ザ・ロッカーズと、現在の音楽シーンに多大なる影響を与え続ける名バンドも多い。博多めんたいロック勢から俳優業にも進出した石橋凌や陣内孝則も有名だ。
日本の音楽シーンは、その後、ビートロックやパンクロックのムーヴメントを通過しさまざまな紆余曲折を経て、2000年代以降のHIP-HOP全盛の時代(クラブシーン)をむかえた。近年では、HIP-HOP離れも顕著になり、歌謡曲風なアイドル路線が脚光を浴びたり、80年代ミュージックブームなんかも起こっている。
そんななか、今、ふつふつと若者たちの間で、活気をおびているのが、ポップロックやプログレッシブロックと、ブルースロックである。
ポップロックとは、ギター主体の楽曲に軽い歌詞をのせたキャッチーでポップなポップミュージックとロックの合成物である。ようするに、聴きやすくて口ずさみやすいギター主体の歌である。ヒットチャートにランクインしてくる曲はこの手のが多い。
プログレッシブロックとは、前衛的で先進的で実験的なことをするロックである。ひとつの定義にこだわることなく、定型節をあえて無視したコード進行をしてみたり、用いる楽器も、いわゆるバンド楽器とされる楽器以外のものでも積極的に取り入れて、新しい感触でロックをやったりする。ようするに、変わったことや実験的な試みを躊躇なくやってしまうなかなか楽しいジャンルである。
そして、ブルースロックとは、ブルースをロックな表現でやったもので、1960年代から続く長い歴史をもったロックのスタイルである。ようするに、古いスタイルではあるが、不滅の人気ジャンルでもあり現在も世界中にその演奏者やファンが多い。
近年の若者バンドは、ポップロック、プログレッシブロック、ブルースロックをひとつのバンドで曲によって使い分けて、時には、混ぜて、ライヴハウスなんかで演奏していることが多い。そして、これがけっこうウケているのである。
10代後半のバンドが、1960年代テイストのブルースロックをやる。その現象は、誰かにそれをやるように指示されて演奏しているのではなく、かっこいいと思ったからやっているのである。そんなひと昔前の博多めんたいロックシーンのような現象の波が、今、札幌出身のバンドに多く見受けられているのだ。
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